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事業の再編へ   企業結合などとへ許認可へ  

事業の再編

事業再編の方法にはどんなものがありますか。

事業を再編する方法としては、社内カンパニー(社内分社)、会社分割、現物出資、営業譲渡、合併などがあります。

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  • 社内カンパニー(社内分社)
    一社内の組織及びその権限の範囲内で事業部の独立性を高めていく方法です。
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  • 会社の分割
    会社の営業の全部または一部を他の会社に包括的に承継させ、その営業の承継に応じて、分割会社または分割会社の株主に株式を割り当てる制度です。
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  • 現物出資
    会社の設立、増資に際して、金銭以外の財産を出資することです。
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  • 営業譲渡
    営業を契約によって譲渡することです。
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  • 合併
    複数の会社が一つの会社になることです。
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会社分割を基準として考えると、事業再編の各方法にはどんな違いがありますか。
  • ① 事業を承継させる対象が、社内カンパニーは単に一社内の組織であるのに対し、

    会社分割は社外の別法人(既存と新設があります。)となります。

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  • ② 現物出資の場合には検査役による調査等手続上厳重な制約がありますが、

    会社分割にはこのような制約はありません。

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  • ③ 営業譲渡は営業を構成する個々の権利・義務や資産についての移転行為が

    必要となりますが、会社分割ではこのような個々の移転行為は必要ありません。

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  • ④ 合併と会社分割は、基本的にはそれほどの違いはありませんが、経済上、経営上、

    課税上、さらに手続上のメリット、デメリットを比較検討の上、いずれかの方法を選択することになります。

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新しい制度である会社分割はどのような場合に利用されるのですか。

一言で言えば、事業の再編ができ、事業経営の合理化、効率化を図ることができます。

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  • ① 関連会社の事業再編ができる。

    関連会社のそれぞれを専門化する、あるいは同一事業を地域別に分ける、また一定の関連事業を営む他社へ営業を移して、そこで総合して営業することなどができます。

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  • ② 営業をそのまま移せる(承継する側からみると、事業買収できる)。

    会社の分割をする側は自分の抱える営業を手放し、承継する側は他社の営業を、現金なしで買収できる。

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  • ③ 事業部門を独立させ外社化できる。

    親会社の1事業部門を独立させて一つの会社にできる。

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  • ④ 効率的な提携ができる。

    関係各社が株式移転を行って持ち株会社を設立し、関係各社相互間で分割により専門化を行い、株式を持ち株会社に割り当てる。

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  • ⑤ 持ち株会社化を推進できる。

    関係各社のうち1社の事業を他社に承継させ、自ら株式の割り当てを受ければ、事業を営まない持ち株会社となることができる。

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  • ⑥ 株式の公開が可能になる。

    ある会社に採算部門と不採算部門とがある場合、採算部門の営業を承継させる会社を新設すれば、当該会社は株式公開が可能となる。

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  • ⑦ コングロマリット・ディスカウントを解消できる。

    互いに関係のない異業種を有する会社で、その会社の評価が各事業部門の価値の合計より低くなっている場合(コングロマリット・ディスカウント)、各業種を会社分割によって別個の会社とすれば、それぞれの会社が事業に専念することによって効率を上げることができる。

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  • ⑧ 不採算事業から撤退できる。

    不採算事業を承継させる会社を新設すれば時間をかけて縮小整理することができる。

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  • ⑨ 肥大化が防止できる。

    スピーディーな企業経営を目指して企業の肥大化を防止するため、会社分割によって各事業部門を独立させる。

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  • ⑩ 会社資本の減少ができる。

    資本金1億円のX社が、会社分割によって資本金5千万円のY会社を設立し、X会社が資本減少を行い資本金5千万円とすれば、資本金5千万円ずつの会社2つに生まれ変わることになる。

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  • ⑪ 相続をめぐる争いを防止できる。

    父親が会社を経営している場合に相続人として2人の息子がいる場合、 事業ごとにこの会社を分割して息子2人に相続させることができる。

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会社分割があった場合、許認可等の地位は承継されるのでしょうか。

許認可等を規定している個別の行政法規がどのように規定するのかによって異なります。

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企業結合などと許認可

企業等の結合等にはどのような形態があるのでしょうか。

合併、会社の分割、営業譲渡、営業の賃貸借、経営の委任、損益共通関係、持株支配、 役員派遣、技術派遣、技術提携、販売提携などがあります。

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企業等の結合等があった場合、許認可等の地位は承継されるのでしょうか。

一般論としては、企業等の結合等自体は一定の手続の下で認められますが、
許認可等の地位は当該法主体に与えられたものであるため、企業等の結合等によって当該法主体に変更がない(例えば、許認可等の地位を有する法人が存続する吸収合併等)か、又は許認可等に関する法令が特に規定を置いている場合に許認可等の地位が承継されることになります。
従って、許認可等に関する法令が特に規定を置いていなければ、新設合併、許認可等の地位を 有する法人を吸収する合併、会社分割、営業譲渡、営業の賃貸借等の場合には新たに許認可等の申請を行うことになります。

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企業等の結合等と許認可等の地位の承継に関し、許認可等に関する法令はどのように規定していますか。その概要を教えて下さい。
  • ① 法令に何らの規定のないもの。

    民法上の公益法人、建設業許可、宅地建物取引業免許、産業廃棄物処理業など。

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  • ② 合併のみ許認可等の地位の承継を認めるもの。

    中小企業等協同組合、宗教法人、医療法人など。

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  • ③ 相続のみ許認可等の地位の承継を認めるもの。

    賃金業登録など。

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  • ④ 営業譲渡のみ許認可等の地位の承継を認めるもの。

    貨物軽自動車運送事業など。

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  • ⑤ 相続と合併について許認可等の地位の承継を認めるもの。

    風俗営業許可など。

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  • ⑥ 相続、合併、営業譲渡について許認可等の地位の承継を認めるもの。

    一般貨物(旅客)自動車運送事業、貨物利用運送事業、倉庫業登録、酒類販売業免許など。

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許認可等に関する法令に合併等に基づく許認可等の地位の承継を認める旨の規定がある場合、当該規定に基づく申請と新規の申請とでは、いずれがよいですか。

当該規定に基づく申請と新規の申請との間で、事業拡大をするのか否か、
要件充足の難易、手続の簡便性、従前の許認可等と新規の許認可等との間におけるタイムラグ、税務上の観点、費用等を総合的に判断して、いずれにするのがよいのかを決定すべきです。

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